2011年2月10日4時39分
【ソウル=牧野愛博】韓国と北朝鮮の軍事高官協議を開くための実務者接触が9日、前日に続いて板門店で開かれたが、合意に至らずに決裂した。次回日程も決まらなかった。米朝対話や6者協議の前提となる南北関係改善の糸口は見つからず、北朝鮮が新たな挑発に出る可能性もある。 韓国国防省によれば、韓国側は9日の協議でも、高官協議の議題を昨年3月の韓国哨戒艦沈没事件と11月の韓国・大延坪島(テヨンピョンド)への砲撃に限るよう要求。朝鮮半島の軍事的な緊張問題も協議したい北朝鮮側との対立が解けなかった。 北朝鮮側は休憩を挟んだ午後になって態度を突然硬化させ、韓国側を非難。沈没事件への関与を否定し、「米国主導で南側が対北対決政策を合理化するために行った謀略」と決めつけた。砲撃も、韓国が大延坪島を挑発の根拠地にしたのが原因と主張した。 韓国政府は前日までの協議で妥協が可能と判断。9日午前に南北赤十字会談の受け入れを発表して北朝鮮側の譲歩を引きだそうとしたが、うまくいかなかった。 北朝鮮は1月5日、「対話と交渉、接触で緊張緩和と平和など全ての問題を解決していく」との声明を発表していた。韓国政府は高官協議を通じ、北朝鮮に両事件に対する謝罪と再発防止の確約を迫る方針だったが、北朝鮮に従来の主張を変える考えがないことが明確になった。 韓国政府内には、北朝鮮内で対話を目指す勢力と軍の間で意見の相違があるほか、健康状態が悪く後継問題も抱える金正日(キム・ジョンイル)総書記は、軍に配慮せざるを得ない状況にあると分析する声が出ている。 北朝鮮は実務者接触で高官協議の早期開催に意欲を見せたが、今月末から米韓合同軍事演習が始まれば、対話が中断するのは確実。韓国政府当局者は9日、「当面は北の出方を見守る」と語ったが、今後は、緊張拡大を嫌う米中両国などによる南北朝鮮への働きかけも活発になりそうだ。