2011年2月8日23時41分
【ソウル=牧野愛博】韓国と北朝鮮の軍事高官協議のための実務者接触が8日、板門店で行われた。韓国政府によると、協議の議題を巡って難航し、9日に再開することになった。北朝鮮側は8日の接触で、高官協議の早期開催を要求。韓国への譲歩を嫌う一方で、米朝や日朝の対話に早くこぎ着けたい北朝鮮側の思惑が浮き彫りになった。 韓国側は8日の接触で、高官協議の議題を昨年3月の韓国哨戒艦沈没事件と11月の韓国・大延坪島(テヨンピョンド)への砲撃に限るよう要求。北朝鮮は高官協議で両事件への見解を明らかにするとしたうえで、朝鮮半島の軍事的な緊張解消について協議するとし、対立した。北朝鮮側には、海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の変更など、自らに有利な議論を展開したい思惑があるとみられる。 また韓国は、北朝鮮が高官協議で両事件への謝罪と再発防止の確約を巡る話し合いに応じる場合には、北朝鮮の主張を受け入れる考えも示したが、合意に至らなかった。 北朝鮮はこれまで沈没事件への関与を否定し、砲撃も米韓の軍事挑発が原因と主張している。韓国政府内には、北朝鮮が軍事協議に応じた背景について、譲歩が目的ではなく、軍の主張を明確にする狙いがあるとし、譲歩を勝ち取るのは容易ではないとの見方が強い。 一方、高官協議の時期については、韓国側が今月末ごろの開催を打診。北朝鮮側は来週も含め、可能な限り早い開催を求めた。北朝鮮が軍事高官協議を急ぐ背景には、2月末から3月下旬までの米韓合同軍事演習の影響がありそうだ。北朝鮮は過去、演習期間中の対話を拒んで来た。 一方で、北朝鮮は昨年末ごろから米中両国などに食糧支援を要請し、米国に直接対話を打診。米国が、南北関係の改善を米朝対話の前提とする韓国の主張を支持しているため、早期に南北関係の改善問題に決着をつけたい思惑があるとみられる。 ただ、韓国政府は北朝鮮が両事件について譲歩することに加え、北朝鮮の核問題を巡る南北高官協議が実現しない限り、関係改善は難しいとの立場。韓国の6者協議代表を務める魏聖洛(ウィ・ソンラク)朝鮮半島平和交渉本部長は10、11の両日に訪中するほか、来週は日本を訪れ、韓国の方針への理解を求める考えで、南北関係改善はすんなりとは行きそうにないのが現状だ。 しかし、関係改善が遅れれば、北朝鮮のウラン濃縮に懸念を示す米国が対話に踏み切る可能性がある。北朝鮮が核実験やミサイル発射など新たな挑発に出る懸念もある。米中両国は1月の首脳会談で朝鮮半島の緊張緩和で合意しており、韓国は難しい対応を迫られそうだ。